ロス在住Kのビール日記 - 第2回  2007.06.01更新


「サムライ魂、海を渡る」


我が日本のトヨタが絶好調だ。今年は世界の王者GM(ゼネラル・モーターズ)を生産台数で抜き、年間の生産台数で世界トップに躍り出るのがほぼ確実と言われている。ここカリフォルニアは、リベラルな土地柄も手伝ってか車を走らせれば右も左も前も後ろも(上も下も)日本車だらけだ。私は生粋の日本人であるから、この状況が嬉しいのは当たり前。ただし同じトヨタが出す高級ブランド、レクサスはどうやらかなりのアメリカ人が欧米車だと思っているらしい。ここは少々残念ではある。

ではビールはどうであろうか。アメリカにおいて在留日本人がニューヨークに次いで2番目に多いとされるここロサンゼルス。日系スーパーも相当数存在する。ここに日本のビール各社の製品が並んでいるのは当然だろう。

それではアメリカ資本のスーパーの様子はどうだろうか。改めて売り場を観察してみると、ビール売り場は結構広い。ビールだけで写真の面積の約2.5倍は陳列棚が存在するのだが、この写真を良く見てほしい。

(クリックすると別窓で拡大写真が表示されます)

客の視線が向かいやすいと言われる棚の上方にしっかりと日本のビールも置いてあるのだ。しかしここでは残念ながら、日本車のような現象は見られない。自動車とは対照的に日本のビールは明らかに劣勢のようだ。


しかし、しかし、これを見よ。SAPPOROが出している2種類の缶ビール。周囲に並ぶビールの多くが瓶詰である中で、シルバーの美しい形状がひと際目を引く。下部が微妙に細く加工されたそのシルエットは、手にしたときのフィット感もさることながら、施されたシンプルなラベルデザインと相まって、日本車にも通ずる美しさ、いやむしろ機能美と表現すべきだろうか、が漂う。何よりも心に響くのは胸に堂々と刻まれた「Imported」の文字だ。

ここで日本車好きのある人の名言を思い出した。

「日本車だって、海外で走らせれば【ガイシャ】だぞ。」

そ、そうか。世界中を走り回る日本車は、日本人以外から見れば【ガイシャ】なのだ。これは同時に、日本のビールもアメリカに持ってくれば【ガイビール】(注:筆者の造語)になることを意味する。発音的にはむしろ【ガイビアー】だろうか。今やクールな日本文化は世界中に広まっているから、【ガイジン】という言葉は一部のインテリ層には通じるはず。ならばこの【ガイビアー】という言葉も、クールでお洒落な日本のビールの呼び名として是非とも定着させたい。

と、興奮しながらここまで書いたが、実は大きな落とし穴があった。トヨタがアメリカで現地生産を進めているように、なんとこのビールはカナダで生産されていたのである。カナダからアメリカへの「輸入」という印だったのだ。残念である。

だがしかし!!日本人の魂だけはきっと海を渡って届いているハズだ。そうに違いない。だから私はここ西海岸から、太平洋を沈んでいく夕日を見ながらこう叫びたい。

サムライ魂よ、海を渡れ!

2007.06.01 ロサンゼルスにて K

著者紹介

前回のスパイダーマンに続き、今回で第2回目となったこの企画。
前回の記事を読まれていない方はこちら

運営メンバー(サブ)の中では珍しく調整型の人。某企業で、CGをやっている。

技術畑のくせに、 類をみないバランス感覚の持ち主であるため、ビールの味にはさぞかし客観的な分析をすると期待するのが筋というものだが、 私が知りうる限り、彼ほどのヘベレケぶりを見せる人もなかなかいない。
途中からは、 言うならば、飲めればいいや的なかんじになる。ふだんの調整系スマートキャラはどこへ行ってしまうのというくらいの ビリーミリガン的な変貌を見せる。

しかしながら、彼のものの見方もかなり独特であり、どうでもいいものをアートと感じてしまう、そのセンスは ややスノッブな臭いも感じつつも、わりと面白いなーと舌を巻くときもあるので、 彼のたまに見せる、スマッシュヒットに期待したいものである。
現在仕事で約1年ほどロスに赴任中。

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